私はテーブルの上に散乱してる食器類などをキッチンに運んだ。
洗い物を始めた私の横に先生が立つ。
「手伝うよ」
「…すいません」
私が洗った食器を先生が拭く。
その間、お互い無言。
「ありがとうございました」
食器の片付けが終わった後、私は先生に言った。
「いいえ。じゃー帰るわ」
先生は掛けてあったコートを着て玄関に行った。
帰って欲しくない…。
それが私の正直な気持ちだった。
でもこれで私たちの偽カップルの関係は終わり。
先生は私の彼氏じゃない。
私は先生の彼女じゃない。
だから先生を呼び止める権利なんてない。
先生が靴を履くのを黙って見ているだけ。
「じゃーな」
先生はそう言って、玄関の外に出た。



