「この道沿いの左側に見えるアパートわかります?」 私は指差しながら言った。 「白い壁のアパート?」 「そうです。そこが私が住んでるアパートです」 「めちゃめちゃ近いじゃん」 「歩いて10分ですから」 先生の車がアパートの前に止まる。 「ありがとうございました」 私はお礼を言って車を降りようとした時――。 先生に腕を掴まれた。 "ドキン"と胸の鼓動が跳ね上がる。 しばらく続く沈黙。 先生が手を離した。 私は先生の方を向くと、先生はあの時と同じような切ない顔をしてた。