「先生?」 「覚えてない?」 「えっ…?」 「倒れたんだよ」 私が?倒れた? 「お前んちわかんないし。だから俺んとこに連れて帰ったってわけ」 あぁ…だから…。 だから記憶がないんだ…。 「あ…私…帰ります」 私はそう言うと立ち上がり、先生に背を向けた。 その時――。 先生に腕を掴まれた。 体が"ビクッ"と反応する。 「明日、休みだから泊まって行けば?」 目を見開いて先生の顔を見た。