「べ、別に…悩みなんか…」


「嘘つくなよ」


「先生…」



私は下を向いたまま先生に話し掛ける。



「ん?」


「今、仮に先生に彼女がいないとして…。友達に彼女がいるか聞かれて…」


「うん」


「いないのに曖昧な返事をして…。彼女がいるって勘違いされて、ダブルデートしようって言われたらどうしますか?」


「何だよそれ?」



先生がクスッと笑う。


先生にはこういう経験はないか…。



「そういう経験がないからわかんないけど…」



やっぱり…。
聞くんじゃなかった…。



「忘れて下さい。もうちょっとで日誌が書けるので…」



私は再びボールペンで日誌を書き始めた。