教室のドアの方を見ると、先生が壁に寄りかかって立っていた。


静かに先生が教室の中に入って来る。


私は何も言えず、ただ目で先生を追うだけ。


紗智のイスを引き、そこに座る先生。


私の机を挟んで向かい合わせになる。


先生との距離が近い…。


胸の奥から込み上げてくる緊張感。


放課後の誰もいない教室に先生と2人きり。


ボールペンを握る手が震えて、胸の鼓動が早くなっていく。



「早く日誌書いてくんないと、俺帰れないんだけど」


「す、すいません…」



私は震える手に力を入れて日誌を書き始めた。