「あっ!ねぇ?彼氏出来た?」
美羽が明るく言う。
「あ…う…うーん…」
何でハッキリ「いない」と言えないんだろう…。
高校生にもなって彼氏がいないのは恥ずかしいと思うから?
好きな人はいるけど、彼氏はいないって言えない自分が情けない…。
「その言い方なら彼氏出来たなぁ」
美羽がクスッと笑う。
「あっ…え…う、うん…」
嘘ついちゃった…。
「どんな人?」
美羽が身を乗り出して聞いてくる。
どうしよ…。
その時、先生の顔が浮かんだ。
「…年上の優しい…人だよ?」
「そうなんだぁ」
美羽はそう言うと、紅茶を一口飲んだ。



