携帯を受けとると、私も先生と同じように何の躊躇いもなく携帯を反対に折った。


再び"バギッ"と携帯が折れる音が部屋に響く。
画面が真っ暗になり携帯が壊れた。



「佐渡…携帯…」


「この携帯はもう必要ないですから…」



私は笑いながら言った。
先生は「バカだな」という顔をして私を見ていた。



「先生…学校辞めるって…本当ですか?」


「あぁ。佐渡だけ辞めさすわけにはいかねぇだろ?今回のことは俺が悪いんだから…それにな…」



先生がタバコに火をつける。
タバコを指に挟んだままマグカップを持つとコーヒーを一口飲んだ。



「それに?」


「知り合いに塾を経営してる人がいるんだ。実は前々から塾講師として働かないかって誘われてたんだ…。給料も今と同じくらい出してくれるみたいだしな。だから学校辞めて塾講師になるのも悪くないなぁって…」



私は冬休み明けに、先生は3月いっぱいで学校を辞めることにした。


後悔はしない。
これからは先生と一緒だから。