コーヒーの入ったマグカップを持ってリビングに行く。
「どうぞ」
私はマグカップをテーブルの上に置いた。
私はラグの上に座って、マグカップを両手で包み込むように持った。
先生は電話を切ると何の躊躇いもなく、
ふたつ折りの携帯を反対に折った。
"バギッ"という音が静かなリビングに響く。
「先生!携帯が…」
「もうこの携帯は必要ないから…」
先生はクスッと笑うと、更に折れた携帯を真っ二つに割った。
原型がわからなるくらい見事に真っ二つに割れた携帯。
それを先生はゴミ箱に捨てた。
そして何事もなかったかのようにコーヒーを飲み始めた。
先生の私に対する気持ちを知って、
私の中で、ある決意が固まっていた。



