「先生…コーヒー冷めちゃったね…煎れ直しますね」
私は先生から離れた。
テーブルの上のマグカップを取ってキッチンに行く。
私…先生のこと信じてるよ。
先生は本当は悪い人じゃないって知ってるから。
女性を玩具のように扱っていたのだって…女性が信じられなくなったからだよね。
二宮くんのお姉さんのせいでそうなったんだよね。
キッキンでコーヒーを煎れてる時、先生は携帯で誰かと話をしてた。
「悪いけど…もう付き合えない。お互い最初から遊びだっただろ?もう飽きたんだ…。俺な…本気で守りたいヤツが出来たんだ。笑えるだろ?笑ってくれたらいいよ。こんな俺が言うのも何だけど…お前もさ、彼氏と幸せになれよ。彼氏を泣かすなよ。じゃーな」
そう言って電話を切ると、また次に電話をかける。
そして電話の相手に同じことを言う。
電話の相手は今まで遊んできた女性たちだろう。
先生の話してる内容でわかる。
先生は本気なんだ…。
その気持ちが嬉しかった。
コーヒーを煎れながら胸が張り裂けそうになるくらいドキドキしていた。



