今まで静かだった心臓が再び激しく動き始めた。
「何ですか?」
「俺、これから出掛けて来るから…俺が帰るまで待っててくれないか?」
「えっ?」
私は振り向き先生を見た。
先生はタバコを持ち立ち上がる。
「すぐ帰るから…」
「でも…」
先生の言ってる意味がわからない。
それに、お粥を食べて良くなったとは言え、そう簡単には熱は下がらないはず。
そんな状態で冬の寒空の中出掛けるなんて…。
先生は私の傍に来た。
「俺…女たちには振られたんだ。皆、本命の彼氏とデートだって。まぁいつものことだから慣れてるけどな」
先生はクスッと笑うと、リビングの扉に開けて、私の横を通ってリビングを出た。
寝室で服を着替えていたのか、しばらくして玄関が閉まる音がした。
私は気が抜けたように、その場にしゃがみこんでしまった。



