「佐渡って変わってんな。俺のしたことは犯罪と同じだぞ?レイプされたって訴えることもできるのに」
先生がタバコの煙を吐き出す。
「私…先生のことが…好きだから…。だから憎いなんて思ったことは1度もありません。それに…」
「それに?」
先生は私の方を向く。
「何でもないです。洗い物終わったんで帰りますね。先生?明日はイブですよ。早く風邪治して下さいね。じゃないと彼女たちが泣きますよ」
私はそう言ってキッチンを出た。
たぶん先生は風邪ひいて動けなかったから私を呼んだんだろう…。
私が先生の前を通り過ぎて、リビングの扉に手をかけた時――。
「佐渡!」
後ろから声をかけられて体がビクッと反応した。



