命令に背く事は使用人はしない。 それは色恋家に仕える者達。 「…知ってたんだ。星に言わないように言われたとか?」 本当の事を言われたので更に何も言えない。 彗は唇を噛み締めた。 そして、自室へ向って走る。 「坊ちゃん!!」 それでも彗は止まらず走った。 全力疾走。 止める術はない。 「結崎さん。坊ちゃん…如何なってしまうんでしょう」 「私には判りません。あとは坊ちゃんとお嬢様次第です」 掛けている眼鏡を左手の中指であげた。 眼鏡が光り瞳の奥が見えない。