普通の墓地には、沢山の墓石がある。


だが、此処にはそれが見当たらない。


手入れされた芝生と、白い石。


如何やら、その石が墓石らしい。


この土地に1つだけある墓石。


両親の遺骨は別の場所にあるのだろう。


「…ただいま。星」


白い石に静かに触れた。


その声は切ないが嬉しそうに聞こえる。


先程まで傍にいた男の姿は見えなくなっていた。


二人きりにさせてあげたかったのであろう。