車は動き始めた。 移り変わる景色を彗はただジッと見ている。 「奥様と旦那様もきっと心配なさってますよ」 「してないんじゃないの。自殺したぐらいだし」 更なる衝撃的な事実。 双子の命日。 両親の自殺。 この子の傷は何処まで深いのだろう。 「まぁ、貯金と生命保健残してくれたから生活に困りはしないから良いけど」 その時見せた表情はいつもの彗とは違った。 冷たくて哀しい顔。