彗はそんな姫を見て静かに微笑んだ。


「うん。行ってきます」

「行ってらっしゃい」


そう言って姫はいつもより、ゆるい感じの微笑みを見せる。


まるで、全てのものを包み込むような優しい笑顔。


その笑顔を見て、彗は少し止まった。


首を傾げる姫だが、彗はすぐに元に戻った。


またニッコリ笑ってドアを開けて彗は寮を後にした。


そんな彗を静かに姫は見送る。