何も言わずにジッと王子を見ているだけ。 その顔はかなり怒っている様子。 「勝手に出掛けるなって言ったよね」 「は、はい」 「じゃあ、何で勝手に消えるの!」 怒られた。 その姿を見て姫は明るい顔を見せた。 「千景さん」 「あら、姫ちゃん。久し振りね」 「さ、桜。知り合いか」 恐る恐る緑は訊いた。 脅えるのも当然だ。 いきなり現れた大男を蹴りで吹っ飛ばしたのだから。