建物から出るまでの間に何人もの人とすれ違ってそのたびに誰もが振り返った。


姫の髪はウィッグを取っているのでPDには見えないはずなのに。


でも緑はそれに気付かず突き進む。



「あの人背高いしカッコよくない?」

「抱えられてる女の子も可愛いし。何か王子様とお姫様みたいな雰囲気だね」







 ―+―


ビルの屋上に来て空を眺める真白。


雲が緩やかに動いている。


「…姫」


目からは涙がこぼれだす。


止まる事のない涙。


「大好きだったよ…心から」


恋を諦めた瞬間。


涙は止める事なく流れ出した。






初めての恋は叶わない恋でした。