「桜、寝てるみたいだけど」

「疲れたんだと思うよ。車用意しようか?」

「いえ、大丈夫です」


そう言うと姫をお姫様抱っこした。


そして、そのままドアへと歩いていく。


後ろを振り返り真白を見た。


「芸能人だからって桜は渡さないから」


所謂、宣戦布告。


姫を好きな気持ちは緑だって負けてない。


誰にも渡す気はないだろう。


「緑君だっけ?君には姫を笑顔にする自信はある?」

「勿論」


即答の返事。


真白には多分すぐ答えは出せないだろう。


姫の笑顔を奪ってしまう可能性があるから。


「…それじゃあ、俺は身を引く事にしよう」

「え…」

「俺では姫を笑顔に出来ないんだ。緑君なら大丈夫だから頑張って」


そう静かに微笑んだ。


だけど、何処か寂しそう。


「…桜を笑顔にする為なら何でもするんで」


それだけ言って部屋を出て行った。