すると、姫は静かに微笑む。 「自分は桜 姫と言います。貴方の名前は?」 「…お……本城真白」 口篭りながらそう呟いた。 最初に何か別の事を言おうとしていた様にも見える。 「良い名前ですね」 「大嫌いな名だ」 その言葉を聞いて姫は言葉をもらす。 両親から貰った大切な名前を大嫌い。 意味が判らなかった。 「俺はあいつ等が付けたこの名が大嫌いなんだよ」 真白の瞳は暗く深く冷たい。 心に何かを抱え込んでいる。 そんな風に見えた。