姫は取り合えず傷の手当てをし始めた。


傷か深く本来なら病院に連れて行った方が良いのだが此処からだと1時間以上かかる。


兄も現在家には居らず、背負って連れて行くにも限界があった。


外は次第に吹雪き始めた。


「早く帰って来て下さい…王子兄ィ」


雪が吹雪く外を見つめた。


その時、少年の体がピクッと動いた。


ゆっくりと目を開けていく。


「気が付きましたか?」


少年は起き上がり辺りを見渡した。


見慣れない景色に知らない人間。


手当てされた傷跡。


「…アンタ誰」


見ず知らずの者を助ける義理など普通は無い。


警戒を強める少年。