―4年前―


世界が白に染まる雪景色。


降ってきた雪を掌に乗せるとすぐに溶けて消える。


「…雪、か」


切なげな瞳で空を見上げる少女、姫。


その時、地面の1ヶ所が赤く染まっている事に気付いた。


雪に染まる赤。


慌てて其処へ駆け寄ると倒れている同い年ぐらいの少年の姿。


「だ、大丈夫ですか?」


返事はない。


脈はあるので生きてはいる。


だけど、意識を失っている様子。


ただでさえ寒いのに雪。


凍え死ぬ恐れがある。


姫は少年を背に乗せて歩き出した。