「アノ方ハ俺ヲ創リ出シ名前ヲクレタ。悪ク、言ウナ」


創ってくれた者がいなければこの世に生まれてこなかった。


だがら、捨てられて主の顔も覚えていなくても傷付けられるのは嫌。


「クラウンは優しいですね」

「優シイ?」


感情がないはずのアンドロイド。


だけど、優しさは感情の1つ。


あるはずないのに、ここにある。


「感情がないロボットの心、か」


静かに霧々は呟いた。


そして、クラウンの左指に指輪がはめられている事に気付く。


「その指輪、確か創り主の名前が刻まれているはずだが」


姫は指輪に触れて、その指から外す。


そこには、消えかけた文字で″amu"と書かれていた。


「あむ?」

「でも、この辺にあむ何て奴いないぜ」


一体何処の誰なのだろう。