ふと。

私は交錯する瞬間の武羅人の瞳を見た。

「……!」

赤い瞳。

血に染まった硝子玉のような、真紅の双眸が輝いている。

…武羅人と遭遇した時、彼の瞳は確かに黒だった。

いつの間に燃えるような赤に染まったのか。

いつの間に。

いつの間に。

考えながら。

私はその瞳に魅せられている事に気づいた。

そして気づいた時には、既に武羅人は私の懐深くへと入り込んでいた。

「チェックメイトだ、お嬢様」