そして、背後を取られた時点で私の運命は決まっていた。

有無を言わさず。

儚は私の首筋に牙を立てる。

痛みは大した事はない。

これならば犬に噛まれた方がよっぽど痛いってもんだ。

だけど問題なのは、痛みよりも『出碧儚に噛まれた』という事実。

出碧の一族の能力、『吸血』。

奴らに血を吸われた者は、人間、人外を問わず、『虜』になる。

そして勿論、亜吸血種も例外じゃない。

あの佐久間武羅人すら、この手で儚の足元にひれ伏す結果になっちまったんだ。

どんなに力の差があろうと。

私が堕蓮持ちであろうと。

意思すら関係なく。

「しとね、私の前に跪きなさい」

「……………はい」