あたしはふと思い出した。


「そだ、あの……さ、仕事の明細みたいなもの、もらえる?」

「……明細?」


塔也は怪訝な顔をして眉を上げた。


「ほら、ママがほんとにバイトだったのか疑ってるから」

「……ああ」


塔也はリビングテーブルの上のノートパソコンをしばらくカタカタ言わしてた。

すると、2階のどこからか、ぶーんと音がした。

無言で立ち上がると階段を上って、あたしの入ったことのないドアを開けた。


「ああ、社印も押しとくわ」


そんな声が聞こえたかと思うと、A4の紙をひらひらさせて、再びカーブを描く階段を下りてきた。


「こんなんでいい?」


あたしに渡してくれたのは、印刷された勤務表。

名前、勤務の日時から、ちゃんと会社の四角いハンコまで押してある。


「ああ、バッチリ。ありがと」


あたしはうなずいた。