キャンディ


和弥くんと別れた後、家路をゆっくりと歩いた。


すぐに帰る気分にはなれず、駅からわざと遠回りの道を選んだ。





慶にぃのことが好きだと気づいてからの方が、家に帰りたくない。

好きなのに、会いたくない。


こんなことなら、自分の気持ちに気づかなければ良かった。



そんなふうにまで思えてくる。





慶にぃと女の人がベッドの上にいる瞬間の光景が、脳裏をよぎった。



慶にぃには彼女がいる。


それに、ずっと兄妹としてやってきたあたしが、今頃慶にぃを好きになったところで、両想いになる確率は一体どんなに低いんだろう。




今日だって…喧嘩してきちゃったばっかじゃん…




慶にぃのことを、考えれば考えるほど辛くなった。



好きなのに



好きだから



胸が締めつけられるような感覚になった。