キャンディ

「えっ、慶にぃ!」


声のした方を見ると、信じられないことに慶にぃがいた。


差してるビニール傘は今さっき買ったのか、服が少し濡れてる。



「なんで、慶にぃがこんなとこに…」

「それはこっちの台詞だよ。真衣、どこ行ってたの?」


「…和弥くん家。」

「彼氏?」

「うん」


「…そっか」

そう呟く慶にぃは、ちょっと安心したように見えた。



「でも…
急用できたって言って、帰ってきちゃった」


どんな顔して言えばいいかわかんなくて、慶にぃから視線をそらす。



「そんなことしてると彼氏にフられるよ?」



「だって、和哉くんといても、慶ちゃんのこと気になっちゃうし」


慶にぃが、僅かに目を見開いた。



「……真衣」



あたしは慶にぃを見る。







「ブラコン」