………



慶にぃは何も答えないで、ただあたしを見つめる。


そんな慶にぃを、あたしも見つめ返した。



すると、慶にぃは黙ったまま「おいで」って手招きしてきた。





いつもそう。


自分の答えたくないことは、そうやってはぐらかすんだ。




それでもあたしは、慶にぃの言われた通りに慶にぃの隣まで近寄る。


だって、ここが一番落ち着くから。





「慶ちゃん……」




「ん?」


視線と視線がぶつかる。






「…なんでもない」