「奈津美さん、お風呂上がったよー。」


「はーい」



リビングにいる奈津美さんに声をかけて、自分の部屋へと階段を上がる。



部屋に入ろうとしたら、ちょうど部屋から出てきた慶にぃと目が合った。



「あ、慶にぃ」

「ん?」


「今週の日曜、デートしっ――」


そこまで言って、おもむろに慶にぃの手で口を覆われた。



「そんな大きい声で言っちゃっていいの?」



…それもそうだよね。


階段の前は、意外と声が響く。



あたしは、目の前の自分の部屋を開けた。



「じゃぁ入って話そ?」



とりあえず、あたしの部屋に入ることに…