「慶ちゃん…」



「ん?」



「慶ちゃん」


「うん」



「慶ちゃん」


「ん」



「慶ちゃんっ」




二人っきりの時にしか使わない呼び名を、何度も呼んだ。





あたしは、さっきよりもギュッとしがみついた。


慶にぃの体温を感じる。


あったかくて、ずっとこうしてたくなる。









二人は、それ以上何も喋らなかった。