「な…なに?翔くん?なに?どうしたの?」 密着こそしていないものの、翔くんとあたしの距離は5cmぐらいまで近づいていた。 離れようとしたけれど、体が硬直して動けない。 何も言わない翔くん。 「翔くん?」 翔くんは、後ろの壁に手をついているのか、ちっとも動く気配はない。 真剣な顔で何か見つめているみたいだけど、あたしは直視できなくて、視線を泳がせるしかなかった。