「莉緒っ!」

背後から大声が聞こえてくると、走ってくる足音が聞こえた

王子?

私が振り返ろうとすると、王子が背後から抱きついてきた

「ごめん」

王子が耳元で謝った

「俺が悪かった
行くな、無理して行かなくていいんだ
外に行く必要なんかない」

「桜嗣?」

ぎゅうっと強く抱きしめてくる

「ごめんな、ごめん
多田野の肩をもつから、苛ついただけなんだ
あんな最低男より俺のほうが良い男だろ?
なのに莉緒は多田野を想ってる
そう想ったら、むかついた」

「どうして達明を知ってたの?」

「言ったら怒るから言わねえ」

「やっぱり社長から聞いた?」

「社長は何も言わないさ」

外で何かが光った

王子の手が私の体から離れると、また光った

「あいつら!」

王子が舌打ちをすると、走り出した

「莉緒は部屋に戻ってろ」

自動ドアの前で王子が叫ぶと、王子は勢いよく外に出て行った

記者らしき男が一人
マンションから離れていくのが見えた

マスコミに写真をとられた?

私と王子が抱き合っている写真を?