「モデルの桜嗣さんですか?」

私はマネージャーと思われる女性の背後から声をかけた

女性が振り返って私を見た

長身で、まるで女性のモデルのようだ

茶色の髪は艶やかで、唇がぷっくりしてて色っぽい
目の下にホクロが妖艶さを醸し出していた

グレーのスーツなのに、すごく格好良い

胸元からキラリと光るネックレス
小さいダイアだけど本物だ

ネックレスに合わせて、ピアスも小ぶりのダイアだった

白のワイシャツから覗く谷間が熟した女性を伺わせる


桜嗣に会えると新調した水色のスーツが一気に見劣りした

桜嗣はこんな綺麗な女性と仕事をしてドキドキしないのだろうか

「あ…えっと…」

マネージャーが私の胸もとに視線を落とした
私の首から下がっている社員証を見たのだろう

「高野さんね
社長から仕事の依頼を受けたけど…次の仕事がすぐにあるのよ
手短にしてちょうだいね」

「はい、一時間もあれば終わります」

「一時間?」

マネージャーの声が低くなる

「15分よ」

「え?」

私は驚いてしまった

だって午前中は丸々あいてるって聞いていた

「何か問題でも?」

「あ…いえ、15分で終わるように、します」

私は下を向いた

15分って
撮影場所と衣裳の採寸くらいしかできない