「ホント、バカだね。巧は」 激しく呼吸をしながら、亜姫は笑って言った。 走りすぎて汗をかいたのか、前髪が額に張り付いている。 久々に見る、彼女のいきいきとした、笑顔だ。 「あ・・・やべっ。吐きそー・・・」 俺は地面におえっと小さく嗚咽する。 きったなーっと亜姫がまた、笑った。 あのまま、俺たちはしばらく走り続けた。 多分、亜姫が「いい加減にしろ!!」と俺の足を蹴らなければ、今でも走っていたかもしれない。 俺たちはたまたま近くにあった、小さな事務所の駐車場に、座り込んでいた。