亜姫は机の横にかけていた学生かばんを手に取った。 そして肩にかけると、俺の顔を見ることなく走って教室から出て行く。 教室に俺は一人、ポツリと取り残された。 はぁっとため息をつく。 最近きっていない伸びすぎた前髪を、かき上げた。 俺は、亜姫の真似をして、下唇を強く噛んだ。 胸の中がモヤモヤする。 自分の中に生まれ始めている思いに、俺は気がつかないフリをした。 「・・・マジかよ」