亜姫は俺に背を向け、窓の方向を見つめていた。 いつもは真っ黒な彼女の髪が、太陽の光を受けて茶色に輝いている。 俺が声をかけても、彼女は振り返ろうともしなかった。 「・・・言えよ。 何があった? ・・・・・・イジメか??」 彼女の体が、ビクリと固まったように見えた。 やっぱりイジメ・・・。 ぜんぜん気づいていなかった自分が、情けなくなる。 ようやく亜姫がこちらを向いた。 すこし俯き加減で。