「何があった??」 搾り出すような、小さくてか細い声がした。 「何もないよ・・・」 「何もないわけねぇだろ!!!!!」 感情がむき出しになった、俺の怒鳴り声に、亜姫が顔を上げた。 その目は少し、潤んでいる。 「ほんと・・・何もないんだよ・・・何もないの・・・何も・・・・・・」 亜姫は必死だった。 何度も何度も「何もないの」と、泣きそうな目で呟いてくる。 どうしたらいいか、分からない。 こんな痣が出来ていて、何もないわけがない。 だけど・・・これ以上問いただしても、悪い気がする。