あたしはある一点に、目を留めた。 まだ遠いけど、だんだんとこちらに近づいてくる。 見たことのない、髪形。 顔はまだ、遠すぎて分からない。 それでも、あたしには分かった。 あの人が、誰なのか。 あたしの名を呼んだのは、誰なのか。 あたしはその人めがけて、全速力で走った。 ずっとずっと、待っていた人。 ずっとずっと・・・愛しくてたまらなかった人。