亜姫はそこにいた。 青をベースにした、ピンクのちょうちょが飛んでいる浴衣を着て。 髪は、上げてある。 その髪の間から、ピンクのかんざしが顔を覗かせていた。 浴衣は亜姫にとても似合っていた。 普段、見ることの出来ない、亜姫。 いつも以上に綺麗で・・・。 俺は言葉をなくした。 「巧、タバコ吸うんだ」 おまたせーの言葉も何もなしに、亜姫が言った。 俺は持参の灰皿入れに、タバコの火を消して、押し込む。