胸が何かでぎゅっと、締め付けられた気がした。 亜姫の顔を思い浮かべるたび、胸が苦しくなる。 どうやって呼吸をするのか、忘れそうになる。 亜姫はきっと、俺のことを嫌いになっただろう。 当たり前だ。 自分からキスしといて、それを忘れろなんて言って。 嫌われたほうがいい。 俺は、あいつの気持ちには応えられない。 応えちゃ・・・いけない。 「巧」