「姫かーわいーっ!
 惚れそうッ!!」

「うわ、最悪」

「ひどっ」

「冗談だし」


右側だけ編み込んでもらって花を付けたせいか、ちょっと重い。

誘ってくれるかも、って折角新しい浴衣買ったのに。

これで課題やってたとか言われたらシメてやる…っ!!


「遅くなるようならちゃんと連絡してね。
 パパに迎えに行かせるから」

「うん」

「お邪魔しましたー」


笑顔で見送るお母さんに適当に手を振る。

右側にはいつも通り柚姫がいる。

…けどやっぱ、物足りない。

前までは柚姫と2人だけで良かったのに。

…恭一のせいだ。


「はぁ…」

「なーにため息吐いてんの??
 そんなに恭一くんに会えないのが寂しい?」

「ちがうしっ」


寂しくなんかないっ!

ただ、アイツと会っちゃったから不安なだけ…。

て、アイツと会ったこと言ってないんだった。

あーもう、あんなヤツのこと何か忘れよう。

忘れるのが1番いいんだって…ゆってたじゃん。