愛した名前



『恨んでるのは、さきじゃない』


続けて言ったあきらの言葉の意味がわからない。


私じゃなかったら、誰を恨むっていうの?


「さきじゃなかったら・・・誰を?」


私は気になって聞いてみた。


『・・・・、崎野けい』


少し黙って言ったあきらが口にした名前。







けい・・・?








「なんでっ?」


私はびっくりしてつい早口になる。


『さきは、どうして俺じゃなくてあいつなの?』


話をそらされてしまった。


「どうしてって・・・」


けいが、好きだからじゃないの?


心の中でそう思う。