孤高の狼に捧ぐ恋唄



それでも、振り払ってまで行こうとしない彼に、私はその後どうしたらいいか、ためらった。



ポツッ……ポツッ……



そんな私を手助けするかのように、雨が降り出した。



「雨だ……ね、雨宿りしよ?」



そう言って裾を掴んだまま、近くのファミレスへ足を向けた。



ファミレスへ入ると同時に、今までポツポツだった雨が、バケツをひっくり返したように、一気に地面を叩く。


すぐには止まないだろうな、と思ったら両親の怒った顔が目に浮かんだ。



それでもせっかく彼に会えたから、このまま帰るのは嫌だった。