孤高の狼に捧ぐ恋唄



亜龍の両親に謝罪をしながら、開いた時間を使って新しく住む場所を探していたのだと月は言った。



「誰も自分を知らない場所に住むのは、もしかしたら逃げなのかもしれないけど……
でも、それだけじゃなくて。

明日香を守るために、このままじゃいけないと思った。

俺は可能性を試してみたいんだ。

人と関わっていけるかを……」



月のその言葉に、私は何も言えなかった。



未来に向かおうとしている月の前に、立ちふさがってしまうようで。



連れて行って、とも言えなかった。



月の可能性を信じているから。