孤高の狼に捧ぐ恋唄



「ただいま」



光を背に立ち、そう言ったのは、私が待ち焦がれていた人だった。



少しやつれた頬以外は、容姿は全く変わっていない。



でも、どことなく力強さが増したのはきっと、いろんなことを乗り越えて来たんじゃないかな……



私は、溢れそうになる涙を必死でこらえ、微笑んだ。



それは、置き手紙を見たときから心に決めていたことだった。



帰って来たら、笑顔で迎えてあげよう、と……



そして私は、精一杯の微笑みと共に言った。



「おかえり、月……」