月のその言葉に、亜龍はピクリと体を震わせた。



「あぁ、憎いね。

兄貴を殺したオマエが憎い。

でも、オマエを殺しはしない。

オマエはオレと同じ目にあうべきだから……」



妙に間延びした言葉ではなく、投下するような言葉に、私は亜龍が本気なのだと身震いした。



そんな私を、亜龍が見据えている。



「オレは絶対に許さない。

兄貴を奪ったオマエから、その女を奪ってやる……」



月は、私を自分の背の方へと庇った。



「……させない」



月の低い言葉に、亜龍は笑った。