私はそっとベッドへ近付き、月の手に触れた。 そして音を立てないよう、椅子に腰掛ける。 マスターが閉め忘れたのだろう。 カーテンが開け放たれた窓から月の光が柔らかく差込み、月の顔をうすく照らしていた。 幻想的な光景が、目の前に広がっている。 意識のない月はまるで人形のようで、月の魂はどこか遠くへ行ってしまったような錯覚を覚える。 私は小さく息を吐き、握った手に力を込めた。 月がどこへも行かないように。