マスターは私に頭を下げて言った。 「月を受け入れてくれて、ありがとう、明日香ちゃん」 「えっ?ちょっ……! 私何もしてませんよ?」 慌てて手を振る私に、マスターは頭を上げて微笑んだ。 「月の笑顔は、明日香ちゃんのおかげだから。 本当にありがとう」 そう言ったマスターの顔は…… あぁ、あのときの羽生さんと同じ。 父親の顔だった。