孤高の狼に捧ぐ恋唄



マスターは私にカフェオレをいれてくれた。



私はカウンター席に座り、カフェオレのカップを両手で包み込む。



カップから立ち上る湯気が、カウンター越しに座っているマスターの表情をおぼろげにしていた。



「実はさ、結構な数の女の子が月目当てにこの辺りをウロウロしてたことがあって……

タチの悪い奴の彼女なんかも熱上げたことがあるみたいでさ……」



マスターの言葉に私が思い出したのは、二度目に出会ったときの大勢の男の人たちだった。



きっとあの日も何か因縁をつけられ、返り討ちにしたところだったんだろう。



黙ってきいている私を、マスターは心配そうに、ジッと見つめた。