夢から醒めたのは、全くケチなきっかけだった。「私」の着ていたサマーニットの半袖シャツが、肩からかけていたタンクバッグのストラップで擦れて破けてしまったのだ。肩口の小さな穴から、ナイロンのストラップが「私」の肩を撫でたことで、私は妄想をじゃまされた。そのおかげで「私」は自分のおかれた状況に気づいた。